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PBW「サイキックハーツ」キャラクター【d03349/d03598/d23600/d33560】のプレイング置き場。
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♪ HIDE AND SCREAM 鬼束ちひろ

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 兎のぬいぐるみと、根付けのストラップ。
満月と星型のラムネ菓子に、ネジを巻くと動き出す兎のおもちゃ。他にも沢山。

 一人では持ちきれなかった量を半分以上持ってもらい、帰りは送ってもらって家路についた。景品を片付ける前に、水の入ったビニール袋の中で泳ぐ二匹の金魚を、急いで水を張った洗面器に移す。
 赤と黒の小さな命は、これでもかと言うほど懸命に泳いでいて、殺風景な部屋が少しだけ色づいた気がした。

 ちゃんと育てられるだろうか、だって一度も生き物を飼った事がない。
こんなに一生懸命な子達を死なせてしまったら。そんな不安が頭をよぎる。
 それでも大事にしたいのは、他でもない彼が掬いあげてくれたから。
私も、掬いあげてもらったようなものだから。

「貴方達は名前、どんなんがいい?」

 答えが返ってこないのを分かっていても、問うてみた。

「なんでもいい?ほしたらねぇ…んと、赤いから、紅(べに)。黒いから、墨(すみ)ね」

 我ながら安直なネーミングだけど、不思議としっくり来たところで、洗面器をテーブルの上に置いたままお風呂場に移動する。
 シャワーを浴びて部屋着のワンピースを頭から被ると、ベッドにころんと寝転がる、クリスマスに買ったひよこの抱きぐるみと目があった。黄色い姿とちょっとだけ目つきの悪さが似ていて、寂しい時はいつも抱えているのは、内緒にしている。

 離れてしまうのが怖くて、だけど彼が私の「一番」でもなくて。
傍に居てと言いながら、傍に居てくれという言葉にはっきり頷けない。そんなずるい私を分かっていて全部許してくれるから、彼は優しすぎる。そう、『あの人』よりも、ずっとずっと。
 彼だけじゃない、学園に来てから出会った人達は皆そう。こんなに甘えてばかりで、何かひとつでも返せているだろうか。

 フローリングに座り込み、洗面器の中を泳ぐ二匹をぼんやり見下ろす。

「拠り所…」

 悪戯っ子の様な笑顔で言われた言葉の意味を逡巡する。
それは私にとっての彼という意味なんだと思っていたけど、それだけでもなさそうだった。いつも周囲を窺っているくせに、こういう時は頭が働かない。ネガティブな予想ばかりして、不安ばかり募らせて。

「……楽しかったな」

 一人じゃきっと怖くて歩けなかった賑やかな通り、一人じゃ絶対食べなかった夜店のご飯。ずっと寄り添ってくれた隣の体温と、腕輪の青。

 まだ耳から離れない祭囃子の音色に、心の底から、ずっとあの時間が続けばいいと思った。『あの人』の事さえ、この部屋に戻るまで完全に忘れていた。
 その事実に胸がざわつくし、彼とあの人の両方に泣きついて謝りたくもなる。
あの人は「しょうがない子だ」と笑うだろうし、彼は、彼はなんて言うだろう。
また、離れないように抱きしめてくれる?

 例えば私が暗闇に手を伸ばした時に、掬いあげてくれるのかな。私があの人と眠るのを選んだら、止めてくれるのかな。

 新しく増えたぬいぐるみと、ひよこをとっさに抱き寄せる。今はきっと、こんなこと考えなくていいんだ。それより今夜のことを、忘れないようにしなくちゃ。

 洗面器の中で息をする新しい住人達をもう一度眺める。
明日になったら、ペットショップに行こう。店員さんに聞くのがいいかな。飼い方の本と、餌と、ちゃんとしたおうちをあげなきゃ。他にもこの子達に必要な物、全部。
食費や衣服代が掛からない分、お金は貯まっている方だから、きっと揃えられる。

「今日からよろしくね」

 そう話しかけた瞬間、二匹が軽く跳ねたように見えた。
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